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2022年5月6日

【 個人事業主必見!】法人成りに適したタイミングとは?

「法人成り」とは個人事業を法人化することを指します。法人化することで節税効果や社会的信用度が上がるというメリットがあると言われています。フリーランスや個人事業主として働き方を変える人も多い中、個人事業から法人化するならどんなタイミングが良いのだろうと考える人もいるのではないでしょうか。

今回は、そもそも個人事業主と法人の違いと法人成りをする場合のベストなタイミングをご紹介します。

個人事業主と法人の違い

起業をする場合、「個人事業主」もしくは「法人」のどちらで事業を行うかを決定する必要があります。そもそもどんなことを指すのでしょうか。

まず個人事業主ですが、こちらは法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人を指します。税務署に開業届を提出して事業開始の申請をすれば、個人事業主として独立したとみなされます。最近では「フリーランス」という言葉もよく耳にしますが、これは開業届を提出せずに個人として独立して仕事を行う働き方の人のことです。税務上では個人事業主と同じくくりとなります。

一方、法人とは、「法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織」のことをいいます。ビジネスで得た利益を社員や株主等に分配することを目的とした法人は営利団体と呼ばれ、株式会社や合同会社がこれにあたります。

この二つの違いを詳しくみていきましょう。

♦事業開始までの手続き・費用

個人事業主になるための手続きは前述したように税務署に開業届を提出するだけで完了し、その事業にかかる費用のみで開業することができます。法人の場合は設立する会社の形態によって登記にかかる費用が異なりますが、最低でも株式会社は25万円、合同会社は10万円以上が必要となり、会社印の購入や社会保険の加入も必須となります。また会社設立をするためには提出しなければいけない書類も多くあり、提出先も様々です。会社設立が完了するためには一定の期間がかかりますのでそれも見込んで準備を行っていく必要があります。

♦税金

個人事業主は「所得税」「個人住民税」「消費税」「個人事業税」、法人は「法人税」「法人住民税」「消費税」「法人事業税」」がかかってきます。それぞれ課せられる税金が異なるのです。所得税は累進課税のため、利益が大きければその分税率も高くなります。反対に控除は少なくなり、法人にくらべ経費として認められる幅も狭いです。一方で法人税は所得税に比べて税率が緩やかで最大税率は23.2%となります。

しかし万が一赤字となってしまった場合、個人事業主であれば所得税や住民税の負担はありませんが、法人の場合資本金などをもとにした均等割部分が必ず発生します。

♦社会的信用度

一般的に個人事業主に比べて、法人の方が社会的な信用度は高いと言えます。中には取引先を法人に限定している企業もあります。そのため法人の方が、銀行からの融資の審査に通りやすかったり、人材採用において優秀な人材が集まりやすかったりという点があります。

♦経費の範囲

少し前述しましたが、個人事業主と法人とでは経費として計上できる範囲も違いがあります。まず基本的にどちらも事業にかかった費用はすべて経費として計上することができます。法人の場合それに加えて自分や親族の給与や退職金も経費として計上することが出来ます。そのためこの部分ではかなりの節税となります。

法人成りするベストなタイミング

法人成りで大きく期待される「節税」の部分ですが、上記のような違いがあることを踏まえた上で、法人成りする場合どんなタイミングがベストといえるのでしょうか。大きく2つのポイントを紹介していきます。

♦利益額が一定以上となる

タイミングの一つ目のポイントは利益額です。二つの違いのところでもお伝えしたように個人事業主と法人とでは税金の種類が異なるため、事業から生じる利益が同じでもその利益に対する税負担は異なります。個人事業主に課せられる所得税は所得金額が増えると税率が高くなる超過累進税率が適用され、その税率は所得金額に応じて5%~45%となります。一方法人に課せられる法人税は中小法人であれば所得800万円まで15%、大法人と中小法人の所得800万円を超える所得については23%程度の比例税率となっています。その他の税に関してもほとんどが比例税率となりますのでどれだけ利益が増加しても税率は変わることがありません。そのため、税負担の面からみて法人の所得に対する税率よりも個人事業の所得に対する税率が高くなる前のタイミングで法人成りするのがおススメです。具体的な金額でいうと一般的に個人事業の利益が800万円を超えたあたりで法人成りするのがよいと言われています。ただし、所得控除や事業以外の所得の有無などによっても条件は変わる可能性があるので、自分だけで決定するよりも税理士などの専門家に一度相談をするのをおススメします。

♦売上高が1000万円を超えるかどうか

ベストタイミングの2つ目は売上高が1000万円を超えるかどうかです。売上高は、消費税を納めなければならないかどうかが関係してきます。適切なタイミングで法人成りをすることで消費税を納め始める時期を2年延ばすことが出来る可能性があるのです。

個人事業主の2年前もしくは前年の前半6か月の売上高が1000万円を超える場合、消費税の納税対象となり、納める義務が生じてきます。新たに設立された法人の場合、設立した年と翌年は2年前の売上高というものがなく、初年度の開始半年間の売上高が1000万円以下であれば消費税の納税は免除されます。新設法人は個人事業主とは別となるため、2年前の売上高が1000万円を超えて個人事業主として納税義務者になったとしても、そのタイミングに合わせて法人成りすることによって、消費税の納税義務は免除となるのです。

このような理由によって一般的に新規で法人を設立した場合は設立後2年間消費税の納税を免除される可能性が高く、個人事業を継続した場合と比べると税負担が減るというメリットがあります。ただし資本金が1000万円以上で設立された法人は設立事業年度から課税対象となる特例規定があるので、最初の資本金の設定額には注意しましょう。

これらの他に季節ごとに売上のピークが訪れるような業種の場合は、その売上のピークを法人として迎えるように法人化することでその節税効果は最大となるでしょう。しかし売上が増える時期に法人成りのタイミングが重なってしまうと、法人化のための手続きに追われてせっかくの売上アップのチャンスを逃しかねません。可能であれば、法人成りが完了してから売上のピークの時期を迎えるように準備を進めていくことをおススメしています。

~まとめ~

今回は個人事業主と法人についてそれぞれの違いともし法人成りをする場合のベストなタイミングについてご紹介してまいりました。個人事業主から法人化するにあたっては様々な関係各所への手続きが必要となります。また税金なども面では、状況によっては想定していた条件と異なっていたといったケースも考えられます。法人成りすることを確定する前にまずは現状や手続き等のことも踏まえ専門家へのご相談をおススメします。

当事務所では法人成りを検討している皆様のサポートも幅広く行っています。お気軽にご相談ください。